住宅購入の資金援助に贈与税がかかるって本当?利用したい税制について知っておこう
- 2021/10/28
多くの方にとって、家は一生に一度の高額な買い物。そこで、住宅購入の頭金として、両親からの資金援助を受ける方もいらっしゃることでしょう。
けれど、資金援助を受けると、金額によっては贈与税がかかります。
そこで住宅資金の援助を考えている人は、こんな疑問も湧いてくるかもしれません。
「どうして資金援助に贈与税がかかるの?」
「贈与税の負担を軽くする方法はある?」
そこで、今回の記事では、なぜ資金援助を受けると贈与税がかかるのか、また、住宅取得資金の援助を受けた際に利用できる制度について、詳しく解説していきます。
住宅購入の資金援助は「贈与」とみなされる?
親から子、祖父母から孫に渡すお金に、どうして贈与税がかかるのか不思議に思う方もいるかもしれません。
その理由は、相続税と贈与税の関係にあります。
贈与税の税率を、相続税より高くすることで、相続税を不当に逃れることがないようにしているから。
家族が亡くなると、必ず財産の相続が発生します。その財産の額によって、相続税がかかってきます。しかし、財産がない場合は、相続税もかかりません。
すると、生きているうちに、すべての財産を家族に分け与えてしまえば、相続税を支払わなくて済むと考える人が出てくるかもしれません。
抜け道を許してしまうと、きちんと相続税を支払っている人に対して、不公平になってしまいます。
そのために作られたのが「贈与税」という課税制度です。贈与税は「相続税法」の中で定められています。
住宅購入の資金援助に贈与税がかかるのはいくらから?
両親や兄弟から、財産をもらうと贈与税がかかります。けれど、合計額が基礎控除額の110万円以内であればかかりません。
例えば、500万円をもらった場合、そこから基礎控除額の110万円を引いた額に対して、贈与税がかかります。
贈与額 - 基礎控除額(一律110万円) = 課税価格
例:500万円 - 110万円 = 390万円
そして、贈与税の税率は累進課税です。課税価格が200万円以下であれば10%、最大は4500万円以上の55%。
多く援助してもらえばもらうほど、贈与税も高くなっていくことが分かります。
そこで、国は、住宅購入の際に資金援助をもらったときに使える非課税制度を準備しています。次の項から、制度の内容を詳しくみていきましょう。
住宅取得資金の贈与の非課税制度
住宅購入を親から援助してもらう場合に限り、贈与税をゼロにできる制度があります。
それが「住宅取得等資金の贈与税の非課税」制度です。若い世代の住宅取得を促すために、施行されました。
住宅取得等資金の贈与税の非課税制度を利用すると、700万円までの贈与が非課税です。贈与税の基礎控除額110万円も適用されるため、実質810万円までは贈与税を支払う必要がありません。
さらに省エネ・耐震基準を満たす住宅を建てる場合には、非課税枠が1200万円まで拡大。つまり、贈与税の基礎控除額110万円と合わせて、最大1310万円が贈与税なしで受け取れます。
しかし、住宅取得等資金の贈与税の非課税制度を利用するには、さまざまな条件を満たさなければなりません。以下は、条件の一例です。
- 贈与を受ける人が、日本国内に住所を置いていること
- 血縁関係のある父母・祖父母からの贈与であること(養子縁組をしている場合には、血縁関係とみなす)
- 贈与を受ける年の所得金額が2000万円以下であること
- 贈与を受けた翌年の3月15日までに、贈与金額のすべてを使って住宅の建築を始めること
- 贈与を受けた翌年の12月31日までに、新築した住宅に住むこと
- 住宅の取得や建築に、贈与を受けた本人・配偶者・親族が関わっていないこと
- 住宅の床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下であること
- 住宅の床面積の半分以上が、贈与を受ける人の居住用であること
- 今までに「住宅取得等資金の贈与税の非課税」制度を利用していないこと
最も注意しておきたい点は、制度を利用するには申告が必要なことです。贈与税の申告期間内に、申告書や必要書類を税務署に提出しなければなりません。
贈与金額が非課税枠内の場合でも、申告をしないと贈与税がかかります。また、申告期間を1日でも過ぎると、適用が受けられないため、注意が必要です。
相続時精算課税制度
住宅資金の援助にかかる贈与税を非課税にする方法として、もう一つ「相続時精算課税制度」があります。
相続時精算課税制度とは、「住宅資金の援助を受けたのではなく、将来相続するだろう財産の一部を生前贈与された」とみなす制度のこと。
制度を利用すると、最大2500万円まで、贈与税がかかりません。
「住宅取得資金の贈与の非課税制度」と同時に適用できるため、一般住宅なら最大3200万円、省エネ・耐震住宅なら3700万円の資金援助が、贈与税なしで受けられるのは大きな魅力です。
ただし、相続時精算課税制度はその名の通り、いざ相続が発生した時には精算しなければなりません。
つまり、援助を受けた金額も相続財産に繰り入れて、その合計金額で相続税を計算します。
相続税も、相続金額が大きくなるほど税率が高くなるもの。
場合によっては相続税のほうが、贈与税を支払って資金援助を受けるより高くついてしまうという結果になりかねません。
住宅購入の資金計画には、将来を見越した長期的な視点から十分に検討することをおすすめします。
住宅購入の資金援助を最大限に生かすために
ご両親からの援助は、住宅購入を具体的に進めるための大きな支えです。
その思いを最大限に受け取るためにも、税金の優遇制度を上手に利用したいもの。
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まとめ
住宅購入のために、ご両親から援助を受けると贈与税がかかります。
贈与税の負担を軽くする方法は、住宅取得等資金の贈与税の非課税制度と相続時精算課税制度を利用すること。
税金の優遇制度の利用には、さまざまな条件を満たす必要があり、申請手続きも欠かせません。
税率や資金計画について疑問に思うことがあれば、住宅建築のプロに相談してみませんか。
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