日本家屋の「妻入り」と「平入り」ってなに?雨どいの設計にも関係がある!
- 2021/02/25
「平入り」と「妻入り」って?
日本家屋において、屋根と入り口との位置関係を表す言葉に「妻入り」と「平入り」という言葉があります。
日本家屋では、切妻屋根といって、屋根の形状が二つの斜面からなる、最も高い大棟から軒先の方に向かって傾斜している屋根が広く設計されてきました。
最近のモダン建築では、切妻屋根を見かけることは少なくなりましたが、伝統的な日本家屋では、多く使われているので、「屋根」と聞いて思い浮かべることが多いのは切妻屋根かもしれません。
切妻屋根の特徴として、傾斜があることで、雨水が屋根の上にたまりにくいことが挙げられます。
また、屋根の上に雪がたまりにくいので、雨や雪が多い日本の気候に適した屋根なのです。
ここで、冒頭の妻入りと平入りの話に戻りますが、切妻屋根において、軒先側にあたる平側に入り口を設置するものを「平入り」、横から見て屋根が八の字のように見える面(妻側)に入り口を設置するものを「妻入り」といいます。
平入と妻入りのどちらがよいかという話は、長い歴史の中でトレンドがなんども行き来しており、伝統的な日本家屋の歴史を語る際には切っても切れない関係なのです。
雨水の流れをコントロールする屋根
建物のどこに入り口を設けるかは、アプローチの動線や家の間取りにも関係してきますが、屋根に降る雨をどのようにコントロールするかに関わってきます。
先に挙げた平入りの場合、雨水は傾斜を伝って入り口側に落ちてくるため、雨樋(雨を受け止めるパイプのようなもの)を設置する必要があります。
しかし、豪雪地帯においては、雨樋にたまった水が凍ってしまうため、雨樋を設置するのが好ましくないケースもあるので、注意が必要です。
妻入りの場合、屋根から入り口に雨水が落ちてくることはありません。
しかし、建物が縦長の場合は、入り口から建物の奥までの距離が長くなってしまいます。
そのため、妻入りの場合は、建物の形状によっては生活動線上の問題が生じることがあります。
現代建築に活かす伝統
現代のモダン建築では、シンプルな箱型の家や片流れの屋根の家が増え、妻入りや平入りはあまり見かけなくなってきました。
また、人口密集地域においては入り口の場所が限定されることも多いので、そもそも妻入りや平入りをそのまま適用できる土地が少ないのです。
ですが、古くから、風雨や雪などの自然現象から我々の身を守ってきた「屋根」の精神は現代建築にも活かされているといえるでしょう。
伝統と革新の両面から、「最適な家づくりとはなにか」を追求していくことが現代の家づくりをしている我々の使命であるといえそうです。
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