相続放棄の3つの種類とは?手続きや必要書類、費用などを解説!
- 2020/09/02
ご家族に万が一のことが起きた時に、問題となるのが相続。
しかし、様々な事情があり、相続放棄を検討している方もいるかもしれません。
しかし、「何からしていいかわからない」「そもそも全体像を知りたい」という方も多いでしょう。
この記事ではそんな悩みを解決するために、次の内容について解説していきます。
- 相続放棄の3つの種類
- 相続放棄をする際の注意点
- 相続放棄申述書や必要書類について
- 相続放棄にかかる費用
今回は「家」における相続放棄を中心にご紹介していきます。相続放棄について考えている方は、ぜひご一読ください。
そもそも相続放棄を選ぶのはどんな時?
「大学進学を機に地元の家から上京し、そのまま就職した。」
「転勤などで全国を飛び回り、なかなか実家に帰る機会がない。」
他には、「両親と離れて暮らしている」という方は、決して少なくないでしょう。
一例ではありますが、こうした際に相続放棄という手段を選ぶ方がいらっしゃいます。
また、故人が未婚で子どももいなく、親もすでに他界している場合、兄弟姉妹が相続人となります。
すでに疎遠となっていると、このような場合でも、手段として相続放棄が検討されるでしょう。
どんな家にも役目を終える時が来ることは事実です。
そんな役目を終えた家をどうするか考えた時に、この相続放棄という方法が出てくるのです。
相続放棄3つの種類や相続における注意点
相続が発生した時、相続人がとれる方法には、「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3種類があります。
単純承認とは、プラスの財産も借金などのマイナス財産も、丸ごと相続する方法。
限定承認とは、プラスの財産に加えて、マイナス財産のうちプラスの財産で支払える分だけ相続する方法。
詳しく説明すると長くなってしまいますが、「遺産全体で見るとマイナス財産の方が大きいが、せめて形見くらいは残したい」といった時に取られる選択肢だと認識しておきましょう。
3つ目の相続放棄は、相続する権利を全て放棄してしまう方法。
兄弟姉妹など法定相続人が複数いる場合、自分だけが相続放棄をするということも可能です。
プラスの財産よりマイナス財産が大きい場合、相続放棄を選択することで借金を取り立てられることはありません。
全財産を放棄する時の注意点
前述した通り、相続放棄とは、遺産に関する一切の権利を手放すことです。
プラスの財産は相続して、マイナス財産のみ相続放棄をするといったことはできません。
財産の一部にでも手をつけてしまったら、「相続の意思あり」と見なされ、相続放棄ができなくなります。
ここでの注意点は、プラスの財産だけでなくマイナスの財産にも手をつける場合です。
例えば、亡くなった人に借金があって、返済を迫られているとします。
もし相続人が、一時的だとしても借金の立て替え払いをしてしまえば、「相続の意思あり」と見なされてしまうのです。
相続するかどうか迷っている時には、遺産に手を触れないことが重要です。
きちんと遺産の詳細を調べ、相続放棄するかどうかを決定することが求められます。
また、相続放棄をする場合には、相続が発生したことを知ってから、3ヶ月以内に手続きを終える必要があります。
3ヶ月を過ぎてしまうと相続放棄ができなくなるので注意しましょう。
一度、相続放棄の手続きをとれば、相続放棄の撤回はできません。
期間が短く、難しい判断となりますが、十分に考えて行う必要がありますね。
相続放棄の手続きや必要書類、費用について
次に、相続放棄における手続きの流れや必要書類、費用について解説していきます。
相続放棄の手続きと必要書類
相続放棄の手続きは、亡くなられた方が住んでいた地域の家庭裁判所で行われます。
手続きの最終地点としては、財産の相続を放棄する旨を記した「相続放棄申述書」に必要な書類を添え、家庭裁判所へ提出することです。この流れを経て、手続き終了となります。
この相続放棄申述書という用紙には、特に決まった書式がありません。
必要なことが全て記載されていれば、レポート用紙に手書きで書いても、受け付けてもらえるのです。
ですが、当然書き漏れなどがある場合には、手続きを進めることができません。
基本的には、相続放棄申述書の用紙を家庭裁判所で受け取るようにすれば良いですが、裁判所のホームページからもダウンロードできるので、自分に合ったやり方で手続きを行いましょう。
そして、相続放棄申述書に添える書類として、次のものが必要となります。
- 被相続人の住民票除票または戸籍附票
- 相続放棄する相続人の戸籍謄本
住民票除票や戸籍謄本は、市区町村役場で発行できます。
地域によっては、その他の書類を提出することが求められる可能性もあるので、くわしくは家庭裁判所に問い合わせてみてもいいかもしれません。
前述の通り、相続放棄の手続きは、相続が発生したことを知ってから3ヶ月以内に終わらせなければなりません。
しかし「全ての財産を調べ上げるための時間が足りない」などといった事情があれば、期間を延長することが可能です。これを「熟慮期間の伸長」といいます。
熟慮期間の伸長をしたい場合には、家庭裁判所に申し出る必要があります。
しかし、伸長できるかどうかの判断が下されるまでには、1週間から半月程度の時間がかかってしまいますし、申請が認められないこともあるのです。
熟慮期間の伸長は、制度としては存在するも、伸長することを前提に進めるのはあまり良くないかもしれませんね。
相続放棄の費用
相続放棄の手続きには、手数料として800円の収入印紙と、150~460円の郵便切手が必要です。切手の金額については地域によって異なるので、注意が必要です。
相続放棄申述書に添える戸籍謄本などの発行手数料もかかります。
とはいえ、1通300円程度の予算となります。
つまり、トータルでかかる費用は1,000~2,000円程度で、思ったよりも少なく感じるのではないでしょうか。
もちろん、相続放棄の手続きを弁護士や司法書士に依頼した場合には、依頼料がかかるので、事前に検討しておきましょう。
手続き自体はそれほど難しくはないので、自分でやってみるのもいいかもしれません。
専門家を利用して知識の積み上げを
相続放棄をすると、遺産に関するすべての権利を失ってしまいます。
そして、一度相続放棄の手続きを取ってしまえば、撤回することはできません。
相続放棄に踏み切る時には、十分に検討した上で決断することが求められます。
一方で、相続人は相続放棄をした場合でも、新たな所有者が見つかるまでは、引き続き財産を管理しなければならない義務があります。
例えば、相続人全員が、家屋の相続を放棄したとしましょう。
ところが、「相続放棄したから終了」というわけではなく、新たな所有者が決まる前に、家屋で火事などが発生してしまえば、相続人が管理責任を問われてしまうのです。
そういったリスクを視野に入れると、たとえ自分が住まない家だとしても、安易に相続放棄をすればいい、というわけではなくなるでしょう。
きちんと遺産を相続し、土地や建物を有効利用する方法を考える方が賢明な時もあります。
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